慕情


掠れて逝く記憶と裏腹に温もりはその影を色濃く残す

「過去に縛られることは愚かだよ」

そう言えた自分が不意に愛しくなる

暮れて逝く夕焼けは数時間後に生まれ変わるだろう

でもそれはやはり太陽だよ

当たり前のことを当たり前に習う

誰も彼も自分が可愛くて

気が付けば視線は自分に刺さる

狭まった視野を広げる為に

誰もが賑やかさを求めるのでしょう

思考回路が既に不自由

全てが真っ白になるような快感

手放すのを恐れながら誰かの手から逃れてる

終わり無き鬼ごっこの果てに

いつしか日は傾き

一日が死ぬ

それでも夜は朝を約束してくれる

絶対の朝を約束してくれる


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