犬と月

bonnie pink


震えた犬が 月の下をとぼとぼ歩いて来た
怯えた瞳で 月の下忍び足歩いて来た
 
目を覚ましたのは 電柱の影だけ
 
怖がらないで 私は逃げることを忘れたから
強がらないで お互い壊れ方を忘れましょう
 
手を伸ばしたのは なめてほしいから
 
一点の眩い場所を目指す時
犬と月が手を繋いだ
行ってしまうもの 手の届くもの
境界で 犬と月 出会った
 
淋しがりやの バカでどうしようもない犬と月は
見上げることと 照らすことを覚えた
沈んだ日は
 
首かしげたのは 自信がないから
 
ウソが嫌いで 酷くウソつきな君
愛したから
今やっと気付いた
お互い疑うことをやめにしよう
 
耳澄ましたのは 呼んでほしいから
 
もっと強く深く抱いたなら
きっと背を向けるのだろう
君がどこかへ行ってしまわぬように
僕はただ黙っていよう
 
もしも心の奥が寒ければ
涙そっと流すだけさ
 
行ってしまうもの 手の届くもの
境界で 犬と月 出会った

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