田舎暮らしや農業に興味のある方へ

田舎暮らしをやってみたい方へ

 村には空き家がたくさんあります。その空き家に時おり都会の人がはいってきます。しかし、たいていが数年で村を出て行きます。田舎暮らしは想像以上に困難なようです。

 先日(9月19日の日曜日)の午後、10チャンネルで田舎暮らしを始めた都会人の紹介番組をやっていました。その中で、一番人気があったのはわが村のケースでしたが、確かにテレビで見るかぎりはすばらしく思えます。しかし、そこで紹介された家のある地域は、上信越自動車道の下仁田インターから車で1時間以上、しかも半分以上は1車線の細い道で、とても都会人が日常生活を営めるところではありません。週刊誌一冊買うにも往復2時間以上、車を走らせなければならないのです。ちなみに我が家は同インターから18分です。

 我が村のようなところに住みたい人は、まず第一に交通の便や買い物の利便さを考慮し、そこそこのところで空き家をさがしてください。奥まったところに行くほど、一見、環境がすばらしく、また空き家も多く見つかります。しかし、先祖伝来の地を捨てるということは、そこで生まれ育ったものでさえ住みきれないということで、とても都会人が暮らせるものではありません。村の中でも条件のよいところは、必然的によい空き家は少なくなりますが、なんとかそういうところを探しましょう。


 

農業を志す方へ

 マスコミなどで紹介される農業志願者を見ていますと、例外なくものすごい誤解をしていて驚かされます。仕事のきびしさはある程度はわかっているようですが、気象や土壌といったことが決定的に収穫を左右するということがまるでわかっていないからです。

 たとえば「そば」ですが、土壌が豊かなところでは、「そば」はまともに育ちません。我が家の畑に「そば」を蒔いても、余程天候に恵まれないかぎり伏してしまいます。「そば」ができるということで感激して農業をはじめたのでは、絶対にあっという間に行きづまります。別の例をあげれば、我が家のキュウリやジャガイモは天下一品うまいです。ですがサツマイモはだめです。土壌か気象条件が合っていないからです。同じイモ類だと思ったら大間違いなのです。

 日本は縄文時代以前のむかしから農業を営んできました。そういう中で、条件のよいところは例外なく田畑になりました。現在でも同じで、離農する人があっても土質や気象といった条件のよいところは、買い手・借り手が必ず現れます。未経験の脱サラリーマンがとびつく地所には、ろくに作物が育たないところもありかねないことを知っておいてください。

 農業というのは奥が深いもので、自分の土地の気象条件と土質、日照時間そして標高差と寒暖の差等々と、もろものの条件を考慮して、最適と思えるものを生育させる必要があるのです。逆に言えば、ここならではの逸品に出会う面白さも農業は秘めていることも事実です。